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第11話 見える、見えない。

 風呂への道順は、先生から知らされていたので、すぐに分かった。階段を下り、一階の一番奥の部屋。

 そう暗くもないが、明るくもない廊下。


 そんな中、アオイが手で持っている銀色の斧が、よりいっそう輝いていた。

「皆様、さっきから気になってしょうがないのですわ」

 萌が不思議そうにセトたちに話し掛けた。その後を、藍が続けた。

「横にいる変なの、何」

 4人は自分の肩を見つめた。そこには、4人それぞれの守護霊がいた。


「あれれれ、見えていたのですか〜?」

「な、何で見えるの!」

「ひのり、聞いているのは我。その変な生き物は何」


 藍は首を傾けながら、ひのりに聞いた。

 普通に『守護霊』と答えると、信じてもらえるかも分からない。


 ひのりは、どう答えれば良いか迷っていた。

『あたちたちは、守護霊っていうんだよ!』

 サンは、笑いながら藍に言った。意外にも藍と萌は、納得するのが早かった。

「へ〜ぇ、これ、おもちゃじゃないんですの?」

『おもちゃじゃないよ! 守護霊だもん』

 萌が言うと、サンはぷぅっと膨れた。萌は笑った。

「おもしろい『おもちゃ』ですわねーっ、おーっほっほ」


「我には守護霊という非科学的なものは信じられない」

 

 藍は、またも首をかしげながら、守護霊の存在を否定した。目の前に、本物の守護霊がいるにもかかわらずに。藍の言葉を聞いて、セトはリーフの首をつかんだ。リーフは目を丸くして叫んだ。

『なっ、何するんですか、セトちゃん―――!』

「藍ちゃ〜ん! ここに本物がいるので信じてあげてくださいな〜」

 セトは、リーフの言葉を無視し、笑いながら藍に向かって言った。リーフは無視されたので、腕組みをして膨れている。

「守護霊・・・信じてあげてもいい」

 藍が言うと、守護霊一同は笑い、そして泣きながら両手を挙げて喜んだ。

「みんな、急ぎましょう!」

 セトたちは風呂に向かった。















「ふぇ〜、間に合った・・・?」

 ひのりは、息を切らして呟いた。ひのりだけではなく、他の5人も息を切らしていた。

「遅いぞお前ら・・・」

 先生がセトたちに言い、ため息をついた。ふと見ると、まだみんな風呂には入っていなかった。セトたちを待っていたのだった。


「先に入っちゃうと悪いかな? って思って!」

「だな」

 みんなは笑顔でセトたちを迎えた。そんな中、一人つれない顔をした少年がいた。

 その少年は加藤 のりお。5年1組で最も乱暴で、みんなから嫌われ、怖がられていた。特に、アオイはのりおをかなり嫌っていた。何故かは不明。

「ったく、遅れてんじゃねぇよ、女ども!」

「のりお・・・そんな言い方ないのさ!」

 アオイの銀の斧が暗く光る。そこに潜むアクアは、アオイの心の奥でそっとこの様子を見つめていた。何にも言わずに、静かに・・・。

「遅れたのはてめぇらのせいだろ!」

「ああ、それはすみませんなのさ! でもそんな言い方ないのさ」

「オレに口答えしてんじゃねぇよっ!」

「この・・・む」

 アオイがその先を言おうとした瞬間、セトたち以外に姿の見えないアクアが、アオイの口を塞いだ。アクアは冷たい目でアオイを見つめる。

『アオイ・・・これ以上口げんかをやってると、風呂に入ってる時間が短くなるよ』

 アオイはアクアをじっとみつめた。




 しばらくの静寂



 その後に口を開いたのは、アクアだった。

『争いはとってもいけないよ。決してやってはいけない』

「だ、だって・・・」

 アオイは何か言いたそうにアクアをみつめている。

『あの人は、ボクが何とかしておくから、ね? ボクを信じて・・・』

 アクアはアオイの髪を撫で、微笑んだ。アオイは、しばらくアクアを見つめていたが、やがて小さくうなづいた。

「おい、アオイ。何を独り言いってるんだよ!」

「え、あ、何でも・・・」

 やはり、アクアの姿はセトたち以外には見えていなかった。他の人間から見ると、アオイが独り言を言っているように聞こえているのだ。

「変なやつ・・・つーか、とっとと入ろうぜ」

 のりおは、一人で勝手に行ってしまった。その様子を、アクアが真っ赤な眼で見つめていた。





「眠いです〜、早くお風呂から出て寝たいです〜」

 そう頭を洗いながら呟いたのは、セト。セトは、長く白い髪を洗うのに人1倍の時間がかかるのだった。

『セトちゃ〜ん、私の髪も洗ってください〜』

「あたしが洗ってあげる、リーフちゃん!」

 ひのりはシャンプーを手にとり、リーフの髪を丁寧に洗い始めた。

「すみません、助かります〜」

「いーのいーの! 長い髪は洗うのも大変だからね」

 ひのりは笑顔でセトを見た。セトも笑顔で返した。


「のぁーっ! 大変なのさ!」

 アオイが風呂場を駆け回り始めた。時折り転ぶこともあったが、そんなことは全く気にしていない様子だった。みんながアオイに注目した。

「アクア、アクア? ねぇ、アクア」

 何度も斧に向かって語りかけるアオイ。いつもは、斧から明るい返事が返ってくるはずが、今日はまるっきり返事は来ない。アオイは泣き出した。

「うえ〜っ、アクッ、ア〜・・・」

『呼んだ? アオイ』

 今度は斧からではなく、アオイのすぐ後ろから声が聞こえてきた。アオイはすぐに認識した。








 アクアの声だ、と―――

読んでいただき、ありがとうございます。

大変遅くなりました。


読者様の信頼を失ってしまったら・・・と、考えたくもありません。


次も遅くなってしまったら、すみません、なるべく頑張ります!

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