11月10日
風が冷たかった。
頬を切り裂く冷たい冬の風が吹いていた。
「さぶい。死ぬ。」
私は小野有希
高校2年。
「死ぬなんていわないの」
笑って宥めたのは友達の
三浦空
同じく高校2年。
二人で学校からの帰路を歩いていた。
空とはなんかそりがあって、いて楽。
だから人との関わりが嫌いな私も
空とは結構親しい友達だった。
「私、さぶいのきらいだし。
暑いのも嫌いだし。」
「そんなの日本では住んでいられません」
口数が少ない私たちの関係は、
周りから見たら変な関係だとおもう。
でも。いっつものこと。
それで一日が終わる。
筈だった。
「うわっ?!」
私は滑って転んでしまった。
なんせ、道は凍っていたから。
「ゆう大丈夫!?怪我は!?」
空は心配性ですぐに目の色を変えた。
「ん。大丈夫です」
「よかったー。もうゆう場所交代。」
空は安堵の表情にかわり、
道路側を歩いていた私と場所を交代した。
「いいよ。もう転ばないから」
「だめです。ゆうはどじだから」
「どじって…」
この時に私が転ばなかったら。
空と場所を変わらなかったら。
空は死ななかった。
キキィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ドンッ!!!!!!!!!!!!
突然、トラックが歩道に突っ込んできた。
空も私も跳ね飛ばされて。
二人共道路に転がった。
一瞬何が起こったかわからなかった。
痛みも感じなかった。
あ、引かれたのか。そんな感じだった。
そして思い出した。
空は?空はどうなったの?
私は辺りを見回した。
———————空??
ちがうよ。だって空は。
赤い服なんて着ていなかった。
ベージュのカーディガンを着ていた。
空のしていたマフラーを
巻いているけど。あれは空じゃないよ。
じゃあ、空は何処にいるの。
「空??どこ??」
重い足を引きずりながら
空のしていたマフラーを付けている人の
所へ行く。
近づくに連れて赤が濃くなる。
ローファーが赤色の水で浸される。
「空?」
そこで転がっているのは
紛れもなく。空、本人だった。
「空。なんで寝てるの?」
空を揺する。
揺すって揺すって揺すって揺すって。
でも起きてくれない。
「空??起きて??ねぇ…」
私はわからなかった。
空はもう死んだことが。
そこで私の意識は途切れた、