試練の本
とある世界に一人の旅人がいた。この旅人は、様々な国を訪れては数日だけ滞在し、また旅に出るということを十年近く続けていた。
あるとき、旅人は西の外れにある国に滞在していた。この国は最近できたばっかりの新しい国だった。新しい国だけあって、物資などは十分と言えるほどではなかったがとりあえず数ヶ月分の食料などを手に入れることはできた。
この旅人が滞在し始めてから三日たったある日、深夜旅人が寝ていると外で男の悲鳴が聞こえた。ただ旅人以外には聞こえなかったらしく、周りの人は寝たままだった。
朝になり、旅人は町の人に昨日の悲鳴のことを聞いた。あれだけ大きな悲鳴だったら聞いてない人はいないはずだと思ったからだ。だが結果は、誰一人としてそんな声を聞いてはいないと言うものだった。旅人は納得できず、さらに滞在日数を延長して謎を突き止めようと思った。
次の日の夜も、明くる日の夜も悲鳴を聞くことは無かった。そこで旅人は、その国の外れにある図書館に足を運んだ。そこで彼は「試練の本」と書かれた一冊の本を見つけた。そしてその本を読もうとしたとき、図書館の司書の人に止められた。
その日の夜、旅人は昼間読もうとした本のことを忘れることができなかった。そこで、夜町の人が寝静まった頃を見計らい、図書館に侵入し本を持ち去ってしまった。そうして、何食わぬ顔で次の日に出国した。
旅人はその国の姿が完全に見えなくなるところまで移動し、その本を開いた。瞬間、いままで草木おおい茂っていたその場所は突如砂漠とかした。そして数か月分の水や食料がすべて消え失せ、残ったのはその開いたばかりの本と、自分自身だけとなった。
そして彼は、蜃気楼なども見える砂漠の中を歩き続け…三日ほどたったとき息絶えた。
旅人が息絶えてから数日後、西の外れの国の人が息絶えたままミイラ化している死体を発見した。その傍らには一冊の本が置いてあり、その本は数日前に図書館から消えた本だと言うのが判った。西の国の人は、このミイラを本を盗んだ犯人と言うことで埋葬することも無く、野ざらしにした。
それ以来、この国でこの本を読むことはおろか、開くことさえ禁止された。そして、この本は今もこの国の地下深くに封印されたままとなっていると言う。
えーと…この作品を読んで下さった方、申し訳ありません。
少しだけ言い訳をすると、今日専門学校の入試があってとっても眠い状況だけでなく、これの少し前に一作書いているということもあり少しばかり妥協しました。
なんかスイマセンでした。