表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
sign -サイン-  作者: 零梛
第一章 始まりは突然
1/1

回顧

 


 

 本当のあなたを知りたいと、いつから思っていただろう?






あなたは優しくて穏やかで、誰もが好いていた。


人は見た目だけが人じゃない!と心の中で何度思っただろう。


そんなあなたをどこかで羨ましく思ってたし、憧れの対象として、一目置いていた。




本当のあなたを見つけるまでは―――...










 「もうこんな時期なんだ」



思わず呟いた言葉はあまりにも虚しく響いた、―――式場。



式場といっても色々あるけれど・・・



「沙良っ!」



後ろから聞こえた高い声に、反射的に体をクルリと向ける。



「久しぶり。優菜」



愛くるしい笑顔を振り撒く彼女はもうすぐ結婚式が控えている。



「もう三回忌なんだね」



式場、それはお葬式だ。



「早いね」



うん、と相槌をうつと、優菜の顔が一気に曇る。



「やっぱり、あたしたち間違えだったんじゃないかってずっと思うの。あんなことにならなきゃ、死ななかったのにって」



「...優菜。それは違う「あたし、今も結婚悩んでるの」



話を遮ってきた言葉に思わずフリーズした。



「―――えっ?なに言ってるの?大輔くんは関係ないって本人も言ってたでしょ?」



「でも、関係はあるでしょ。"はるか"の好きな人なんだから。今も」



正論に言葉が詰まる。



真剣なまなざしをして話す優菜に、止める術を知らない。



沈黙がはしった。




「"かずや"くんも来てるんだ」



憎しみが込められている声が聞こえた。








あなたは死んでもこれだけの影響力を皆に与える。



本当のあなたを知りたい―――...



やっぱり、間違えだったのかもしれない。



あの5年前に戻ったら、あたしは今度はどんな方法であなたと出会い、あなたを見つけるだろう。





そして、また本当のあなたを見つけるだろうか。



考えても考えても繰り返されるループに嵌まっていくしかないんだ。





『これから、神崎"はるか"様の三回忌を始めさせていただきます』







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ