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Innocent Game  作者: Liar*
8/12

憶。

若干長い、そして文がまとまらない。

みなさんにとって、素晴らしく読み難い作品かもしれません,,,,,。




城に入り洗礼を受けた私は、軽やかな足取りで眩しいぐらい白い、階段を上る

私が昇っている、白い塔は、今ではあまり使われていないという、私がかつて住んでいた場所。


まぁ。もちろん、私1人でここに来れた訳ではない

城の人々があまりにしつこく危険に晒されたらどうする、と言って来たので

それなら、と一番強そうな護衛の人をつけてもらって、やっと許可された。


古塔は未だに美しさが衰える事無く、丁寧に掃除されている為か、蜘蛛の巣1つ見つからなかった


いつだったか、まだあまり汚れていなかった兄と遊んだ場所。

理由は知らないけれど、私たち兄妹は、大人の居ない、この塔で育った

大きな、1つの部屋しかない、こじんまりした所だったけれど、不自由は無かった様に思う


思い浮かべるのは、窓の無い、沢山のロウソクで赤々と輝く部屋

1つの大きな、天蓋のついたベッドはシルクの様に滑らかで、よく兄に怒られながらも羽毛の心地よさに飛び跳ねた

赤い、金糸で飾られた絨毯の上には、色とりどりのクレヨンが散らばり、

部屋の片隅には、忘れられた様に、椅子や、あまり使われていないぬいぐるみ等が固めておいてあった


そして、私の過去には、いつだって傍に、兄が、微笑んで___






...長く過去の想い出に浸っていた所為か、階段を進む足が止まっていた



しかし、

せっかくついて来てくれた護衛の人は、甲冑を着ているせいか、子供用に作られた塔に昇れない

もしかしたら、愛子しか入れないのかもしれないけれど

記憶が断片的にしか無い私には解らない。


彼等がいないおかげで、私が突然立ち止まった所は、誰にも見られずに済んだ。




...とにかく私は、懐かしい場所に来たかっただけなんだ。



長い長い階段の先にみえた、懐かしい、少し色あせた茶色の扉

子供でも簡単に開けられる様に作られたドアノブを回して、部屋に入る



その先にあるのは、私たち兄妹が父神に貰った机などの生活品と、母神にもらった古い玩具

そして、回想にでてきた、あの部屋







の、ハズだったの


に。









「よう、稚草ぁ。」


「...ど、..して?」



何故か、先生が居た。











窓の無い塔。

ざわめく木々に、黒い鴉の泣き声。

優しい草花が咲き乱れる事の無い、絶望の塔。

所々煉瓦が崩れ落ちている、蔦の絡まった古いその建物は、全身で私たち()を包み込んでいた


大人の来ない、子供だけの生活。

衣食住に困る事は無く、遊びに飽く事も無い。

そんな中、兄は素晴らしく優しかった。



「ほら___、見てご覧?とても可愛いだろう?」


「わぁ、可愛い。___にぃ様、こんなに可愛い子、一体いつ頂いたの?」


「あぁ...。_..父神様が、___が寝ている時に来られてね。そんな事より、名前は何にする?」


「ええっとねー.....」



笑い合う兄妹。でも、そこにはいつも、どこか悲しみが混ざっている




何かから妹をかばう様にしている兄。


傷ついた兄を慰める様に寄り添う妹。


あれは、一体誰だっただろうか....。






「それはお前の記憶だ。」




はっとして周りを見渡すと、先生と目が合った


先生は、鋭い眼光を放ちながら、あちらの時は隠していたのであろう、浅紫の髪を揺らしている

風のない部屋で、何故揺れているのかは解らない。


何よりも、何故私の記憶だと断言出来るのかが解らない。

そして、どうして私が今見た映像を知っているのかが解らない。

彼は一体なんなのだろう。

そして私は、あの記憶は、兄は、なんなんだろう。










愛子って、何なの?

















「稚草、お前は歴代の愛子(……)の中で、最も純粋で美しく、力に溢れている。」




___先生、何?何を言っているの?




「だが、その代償に、他の者なら誰でも持っているものを、奪われなければならなかった」




___先生はまた、私に難しい問題を解かせようとするの?




「お前は幸せだ。だが、同時にこの世のどんな者よりも不幸だ。」




___まだここに来たばかりなのに、私は幸せ?そして、誰よりも不幸?




「_...今は未だ、解らないかもしれない。だが、いずれ識る(しる)時が来る。」




___いずれって、いつ?いつまでが、未だ、なの?




「その時までに、俺はお前を救おうと思う。」



___救う?私をアナタが?



「だから、俺を拒否しないでくれ。」








「私を救えるのは、にぃ様だけよ。他人なんて要らない。私はにぃ様だけでいい」





口から零れた、意図しない声。

感情と心と躯がバラバラになった感覚が、私を襲う

不思議な浮遊感、傷む心、それなのに私の感情は驚く程嬉しさで満たされている



これはナニ?


この思いは、なンナの?






虚ろう瞳が捕らえたのは、困惑気味の先生と、


鏡に映る、知らない誰か。







私は、一瞬かいま見た、優しい兄の笑顔(きおく)に引きずられる様にして、

その場に倒れこんだ。



優しいあの瞳は、一体、誰を映していたのだろう...。







いつだって誤摩化されて生きて来た

それが代償だったなら、どれだけ私は幸せだっただろう


彼が私を守ってくれていたから、私はここに存在できる

どうして彼だけが、罪の檻に捕われているのだろう

どうして私は、ここに居るのだろう


私の問答は、

果てしなく広がる白に、吸い込まれて行く




ただ、それだけ。

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