実。
私が、愛子だった事。
凄く幸せに育った事。
リューイとアルティが私の教育係だった事。
父神も母神も、既に居ない事。
邪神が、私の兄であること。
記憶のほとんどを取り戻した私が今成すべき事は、
邪神に行方を知られない様にと、神々が破り捨てた私の記憶を完全に取り戻す事。
そして、それに伴い、失った力を徐々に取り戻す事、慣れる事。
やる事は一杯あるけど、大丈夫。
だって私は、みんなに愛されて生きている。
きっと邪神も、わかってくれる。
邪神の変貌の裏に何があったのか、私にはまだわからないけれど、
いつか、私が暴いてみせる...。
「あぁ麗しい我が主、もうお別れなんて....寂しいですわ」
「私より大人なはずのリューイが無くなんて。でも、ありがとう。寂しいのは一緒だよ」
「主、どうしても助からない、と思った場合は、私達を思い浮かべてくださいませ。
一瞬の時を有しますが、必ずお助けに行きますから」
「一瞬出来てくれるなんて、ありがとう。私は大丈夫だから、リューイと見守っててね、アルティ。」
嬉しい激励の末、私は準備をおえて、世界に旅立つときを迎えた
世界に往く前に、彼女達の執事が、神々の世界まで送ってくれるらしい。
正直、美形が居れば何でも良かったりする。
「じゃ、いってきまーす」「行って参ります、お嬢様」
そして扉は開かれる____...。
目を開ければ、そこは白い白い、果てしない雲の上。
太陽も月も無いのに、何故か明るいと感じるこの空間の中で、私は立ち尽くしていた
そびえ立つ宮殿。行き交う人々は皆、笑顔で挨拶をしてくる
...それを返す事も無く、私はただ、宮殿の上に立っている何かを凝視していた
黒く揺らめく、白い空間では目立った色。
よく見れば、それは人の形をしていた
じっと立ち尽くす私を、執事さんは不思議そうに見ながら、「では私はこれで、」
と、美しく礼をして踵を返した
私は、首をぷるぷる振り、歩き出した
___きっと、宮殿に行けばアレが何かもわかるだろうし、
初めて来るこの場所の懐かしさに目を細めて、ゆったりとした時の中を泳いだ
門の前に立てば、門番さんらしき2人組の大男が、にこやかに大きな門を開いた
どんな力だよ...とか内心突っ込みをいれながら、お辞儀をして中に入る
始終笑顔だった門番さんの顔が、きりっとなるのを、門が閉まるその隙間から見た
「.....愛子様?」
弾かれた様に振り返ると、姉妹神の執事によく似た、老人がこちらを見ていた
けれど、彼女達の執事の目の色は、確かくすんだ緑だったハズ。
この老人は、くすんだ青色だ
「...どちら様でしょうか、私には解りかねますが、確かに私は、愛子です。」
そう言えば、手に持っていた青いバラを、次々に床に落として行く
ぱさ、ぱさり。
乾いた音が、空間を支配する中、彼の表情はドンドン驚きを色濃くしていた
そして、最終的に
「愛子様ぁあああああああああああああああああああああああっ」
叫ぶ事になる。
バンッダダダダダダダダッ
複数のドアが開く音と足音に、恐怖を覚える
けれど、何故かこの執事さんに抱き着かれている私は、逃げる事が叶わない
よって、姿のみえない声達に質問攻めされる事になった
「愛子様!!!あぁなんてお美しい!!!お目にかかれるのも光栄です!!」
「一体いつ御帰郷なさったのです?しかも、あの時空の扉をどうやってかいくぐられたのです?」
「馬鹿か君は!きっとリューイ様やアルティ様が掛け橋と成られたのだろうよ」
「あぁ、確かにあの方々の愛子様への執着ぶりは、凄まじかったものな」
「そんな事より愛子様?お召し物を変えましょう!この神殿で一番高貴な、一番美しく品の良いものを御持ち致します」
「あら、私が用意するのよ!!!!」
「愛子様、」
「愛子様」
「愛子様」
ノイローゼになりそうだ。
いや、それよりも、圧死しそうな気がするんだけれど....執事さん、離してくれよう...。
現実逃避したくなる程、目の前でめまぐるしく行われる口論に疲れ、目をつむる
すると、己の非に気付いたのか、皆、そそくさと道をあけた
執事さんも、いつのまにか青いバラを片手に、絨毯の外側へと移動している
カッ
そして私は、光り輝く人々を見た。
「よく来たね、我らの愛しい子。」
ひげを生やした、位の高そうなおじさんが、包み込むような柔らかく、低い声で呼びかけてくる
「私の可愛い愛子。会えなくて寂しかったわ。よく顔を見せておくれ」
高い位置に髪を結った女性が、優しい瞳で見つめてくる
そして、
「「「「「御帰りなさいませ、愛子様。我らが誇れる美しい魂の持ち主よ」」」」」
5人の美しい美男美女が、凛とした声で、跪いた
それに対して私はというと.........。
なんだか大幅に修正したい気分です。
もしかしたらするかもしれません。
そろそろキャラクターを固めて行きたいな..。