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3 お月さまの おくりもの
夜中に ふと 目がさめて
まどを そっと あけてみた
お月さまが 銀色の おたまで
庭の 木々に 光を ふりまいている
しずかに しずかに ふりまいている
ねむっている お父さんの いびき
ねむっている 猫の まるい背中
みんな 銀色の 魔法に かかってる
ぼくは こっそり 手をのばし
その光を ひとさじ すくって
心の中の ポケットに しまった
あした 叱られたとき
そっと 取りだして ながめるために
番外
ランドセル
押し入れを片づけていたら
古いランドセルが
出てきた
ふたを開けると
えんぴつのにおいと
消しゴムのかす
そして
小さな手紙
「おかあさんへ
きょうは
テストで百てんでした」
へたくそな字で
そう書いてある
母は
もういない
だけど
この手紙を読んだとき
きっと母は
台所で
「よかったねえ」って
言いながら
ちょっと
泣いたんじゃないかと
思う
ランドセルを
そっと閉じたら
押し入れの中から
遠い遠い
夕方の声が




