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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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優しさの重さ

朝食を作っていると、俊介が後ろから声をかけた。


「無理すんなよ。今日は俺がやるから」


優しい声。

気遣い。

全部、ありがたい。


でもその優しさが、

なぜか胸の奥に重くのしかかる。


「大丈夫だよ。もう平気だから」


そう言うと、俊介は安心したように微笑んだ。

その笑顔を見て、

葵は胸の奥がきゅっと痛む。


(……私は、ちゃんと“妻”になれてる?)


俊介の期待に応えたい。

支えてくれた人を裏切りたくない。


だからこそ、

“揺れている自分”を認めたくなかった。


優しさが、

まるで正しさとして迫ってくるようで、

息が少しだけ浅くなる。

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