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胸の奥のざわつき
夜。
店を閉め、外に出ると雪が舞っていた。
冷たい空気を吸い込むと、
胸の奥がじんわりと疼く。
(……なんだろう、これ)
疲れのせいかもしれない。
季節のせいかもしれない。
そう思おうとするのに、
心の奥で小さな波が立ち続ける。
理由のないざわつき。
名前のない感情。
ふと、
雪の向こうに“誰かの笑顔”が浮かんだ気がした。
すぐに首を振る。
(……考えるな)
自分に言い聞かせるように、
大和はゆっくり歩き出した。
一人で生きる。
それが一番楽で、正しいはずだ。
そう思うのに——
胸の奥のざわつきだけが、
静かに、確かに、消えずに残っていた。




