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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第26章

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選ばなかった未来

閉店後、結衣が片付けをしながら言った。


「大和さんって……誰か、好きな人いるんですか?」


不意を突かれ、大和は手を止めた。


「いや。いないよ」


即答だった。

嘘ではない。

でも、胸の奥がわずかにざわつく。


結衣は小さく笑った。


「そっか……じゃあ、いつか誰かと出会えるといいですね」


その言葉に、なぜか胸が重くなる。


(誰かと……か)


想像してみる。

けれど、心は動かない。

結衣の顔を見ても、未来の形は浮かばない。


ただ、

“選ばなかった未来”だけが静かに積み重なっていく。


(俺は……誰とも付き合わない方がいいのかもしれない)


そう思った瞬間、

胸の奥で小さな痛みが跳ねた。


理由は分からない。

ただ、その痛みだけが妙に鮮明だった。

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