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ざわつきの残響
動画を閉じても、
胸のざわつきは消えなかった。
眠れない夜の静けさが、
余計に心を締めつける。
(……どうして、今なの)
母を失った喪失感。
俊介の優しさに寄りかかりきれない自分。
その隙間に、
大和の笑顔が入り込んでくる。
10年前の痛みが、
薄い膜を破って滲み出すようだった。
スマホを伏せ、深く息を吐く。
閉じた瞼の裏に浮かぶのは、
雪の中で笑う大和の横顔。
(幸せなら、それでいいのに)
そう思うのに、
胸の奥がじんわり熱くなる。
自分でも知らなかった感情が、
静かに目を覚ましていた。




