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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第23章

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葵の空白

母を見送ってから数週間。

葵の時間は、どこか薄い膜に包まれたように

静かに、ゆっくり流れていた。


俊介は優しかった。

必要以上に寄り添おうとせず、

でも離れもしない。


(……ありがたいな)


そう思うのに、

胸の奥の空白は埋まらなかった。


仕事に戻っても、

家に帰っても、

ふとした瞬間に母の声を探してしまう。


夜、ベッドに横になっても眠れず、

スマホをぼんやり眺める時間が増えた。


(こんな時に……何してるんだろ、私)


自分を責める気持ちと、

何かを求める気持ちが

静かにせめぎ合っていた。

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