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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第3章

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駅までの道

夜風が少し冷たい。

大和は葵の歩幅に合わせて、ゆっくり歩いた。


「……あの、迷惑じゃないですか」


葵の小さな声に、大和は即答した。


「迷惑なわけないだろ」


その言い方が、あまりにも自然で、優しくて。

胸がぎゅっと締めつけられる。


(どうしてこの人は、こんなに優しいんだろう)


駅の手前で信号が赤に変わる。

立ち止まった瞬間、葵はふと横顔を見上げた。


街灯に照らされた大和の横顔は、

どこか寂しげで、でも温かい。


その横顔を見ていると、

胸の奥がじんわりと熱くなる。


(あ……)


気づきたくなかった感情が、静かに形を持ちはじめた。


(私、この人のこと……)


信号が青に変わる。

大和が歩き出す。

その背中を追いながら、

葵はもう戻れない場所に来てしまったことを悟った。

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