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埋まらない空白
「大和さん、今日もお疲れさまです」
結衣が差し入れた温かいスープを
大和は受け取った。
「ありがとう。助かるよ」
結衣の優しさは、
冬の北海道の空気に
そっと灯る小さなストーブのようだった。
温かい。
救われる。
でも——
心の奥の空白だけは埋まらない。
(結衣は悪くない。
むしろ……ありがたい存在だ)
そう思うほど、
自分の心が動かないことが
申し訳なくなる。
結衣は気づいているのか、
いないのか。
ただ静かに微笑み、
「無理しないでくださいね」と言った。
その優しさが、
大和の胸にそっと刺さった。




