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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第22章

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止まった時間のなかで

閉店後の厨房は、

機械の音も止まり、

静寂だけが残っていた。


大和は流し台に手をつき、

深く息を吐く。


結衣が置いていったコーヒーの香りが

まだ空気に残っていた。


心地よい。

でも、それ以上にはならない。


(……まだ、前には進めない)


美咲がいなくなってから、

時間が止まったままの場所がある。


その奥に、

ずっと気づかないふりをしてきた

“誰か”の影があった。


触れたら壊れてしまいそうで、

ずっと見ないふりをしてきた影。


大和は目を閉じ、

その影をそっと胸の奥に押し戻した。

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