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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第21章

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消えてくれない影

「葵、お母さん大丈夫だったって。

よかったな」


俊介が笑顔で駆け寄ってくる。

その笑顔は、

ずっと自分を支えてくれた笑顔。


「……うん。ありがとう」


葵は微笑んだ。

ちゃんと俊介を見て。


俊介は安心したように息をつき、

そっと葵の肩に手を置いた。


「今日は少し休めよ。

俺がついてるから」


その優しさが、

胸にじんわりと染みていく。


(大丈夫。

私はもう揺れない)


そう思うのに、

胸の奥のざわつきは

消えてくれなかった。


まるで、

遠くで誰かが

自分の名前を呼んでいるような——

そんな気配だけが残った。

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