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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第21章

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揺れ動く心

看護師に呼ばれて席を立つ。

母の容体は安定しているらしい。


安心したはずなのに、

胸の奥がふっと冷える。


(なんで……こんな気持ちになるんだろ)


歩きながら、

葵はスマホを取り出した。


通知は何も来ていない。

ただの静かな画面。


なのに、

胸の奥がざわりと揺れた。


(……誰を待ってるの、私)


自分に問いかけた瞬間、

心臓が小さく跳ねる。


俊介と生きていくと決めたばかりなのに、

どこかで“別の何か”が

静かに目を覚まそうとしていた。


葵は深く息を吸い、

その感情を押し込めるように

スマホをバッグにしまった。

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