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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第18章

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俊介の限界

俊介は、廊下でうずくまる葵を見つけた。

肩は震え、目は真っ赤で、握りしめたカルテがくしゃくしゃになっている。


「葵……」


声をかけると、葵は顔を上げた。

その表情は、今にも崩れ落ちそうだった。


「どうしたらいいのか……分からないの……」


俊介はそっと葵を抱き寄せた。

その体は軽く、頼りなく、今にも消えてしまいそうだった。


(俺じゃ……足りないんだろうな)


ずっと分かっていた。

葵の心の奥には、まだ大和がいる。

その影は消えていない。


それでも支えたかった。

守りたかった。


でも、限界は近づいていた。

葵の痛みを受け止めるたび、俊介自身の心が削れていく。


(それでも……離れられない)


葵が泣き止むまで、俊介は黙って寄り添い続けた。

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