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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第18章

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急変

東京の病院。

葵が書類整理をしていると、突然ナースステーションから声が飛んだ。


「葵さん! お母さまの容体が急変しました!」


手に持っていた書類が床に散らばる。

そんなこと気にする余裕もなく、葵は走った。


病室に入ると、母は胸を押さえ、苦しそうに呼吸を乱していた。

医師たちが慌ただしく動き回り、機械のアラームが鳴り響く。


「お母さん……!」


葵は母の手を握った。

その指先は驚くほど冷たく、細くなっていた。


「葵……大丈夫よ……」


母は微笑もうとしたが、その笑顔はすぐに崩れた。


(やだ……やだよ……

まだ、行かないで)


葵の世界が、音を立てて崩れていく。

涙が滲むが、泣いている暇さえなかった。


ただ、母の手を離さないように必死だった。

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