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結衣との再会
翌週。
大和が居酒屋「灯」の店舗巡回をしていると、
入口の前で雪を払う女性がいた。
「……あ」
結衣だった。
彼女は気まずそうに笑い、
頬を赤く染めた。
「この前は、ありがとうございました。
あのあと、ちゃんと帰れました」
大和は軽く頷いた。
「よかった。あの吹雪じゃ危なかったから」
結衣は少しだけ視線を落とし、
指先をいじりながら言った。
「……あの夜、助けてもらって、
なんだか……救われた気がしたんです」
その言葉に、
大和の胸の奥がわずかに揺れた。
美咲の面影。
葵の記憶の気配。
結衣の中には、
その両方が静かに混ざっていた。




