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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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通勤時の影

ある夜、閉店後。

店を出た葵の背後で、足音がした。


振り返ると――あの男。


「……え?」


心臓が跳ねる。

歩く速度を上げても、男は一定の距離を保ってついてくる。


(来ないで……)


足が震え、早歩きが走りに変わりそうになる。


家に入った瞬間、インターフォンが鳴った。


ピンポーン。


葵は凍りつく。

覗き穴を見る勇気が出ない。


息を殺して立ち尽くす。


ピンポーン。

ピンポーン。


何度も鳴る。

涙がこぼれた。


その夜、葵は一睡もできなかった。

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