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揺れる気持ち②
守られている。
支えられている。
頼ってしまっている。
でもそれは、
“愛している”とは違う。
その違いが、
葵の胸を深く刺した。
「返事は……今じゃなくていいよ」
俊介はそう言って、
葵の手をそっと離した。
その優しさが、
葵には痛かった。
玄関の扉が閉まると、
静けさが一気に押し寄せる。
葵はその場にしゃがみ込み、
震える手で顔を覆った。
(ごめん……俊介……
ごめん……私……)
涙が、静かに落ちた。
返事はしなかった。
できなかった。
その夜、
葵の心は揺れたまま、
どこにも着地できずにいた。




