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支えるということ
葵が病室から出てきたとき、
俊介はすぐに気づいた。
「……また、悪かったのか」
葵は無理に笑った。
「ううん、大丈夫。
お母さん、頑張ってるから」
その笑顔が嘘だと、
俊介にはすぐに分かった。
葵の肩は小さく震えていた。
手は冷たく、力が入っていない。
俊介はそっとコートをかけ、
何も言わずに隣に立った。
(言葉なんて、今は必要ない)
ただ寄り添うことだけが、
今の葵を支える唯一の方法だと知っていた。
けれど胸の奥では、
どうしようもない不安が渦巻いていた。
——葵の心の中には、
まだ“誰か”がいる。
それを知りながら、
俊介は手を離せなかった。




