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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第16章

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消えない影

病院の帰り道。

葵はふと立ち止まった。


「……俊介、私ね。

最近、夢を見るの」


「夢?」


「昔のこと。

……大切だった人のこと」


俊介の胸が、

静かに痛んだ。


その“誰か”が誰なのか、

聞かなくても分かっていた。


大和。

葵がずっと心の奥にしまってきた名前。


俊介は深く息を吸い、

優しく微笑んだ。


「……そうか。

辛いときって、昔のこと思い出すよな」


葵は驚いたように俊介を見た。


責められると思っていたのだろう。

でも俊介は責めなかった。


責められるはずがなかった。


(だって……葵は、ずっとあの人を忘れられなかったんだ)


それでもいい。

それでも、守りたい。


俊介はそう思っていた。

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