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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第14章

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灯りのなかで

店に入ると、温かい空気と出汁の香りが迎えてくれた。

女性は湯気の立つ味噌汁を両手で包み込み、ゆっくりと息を吐いた。


「……生き返る」


その言葉に、大和は少しだけ笑った。

吹雪の音が遠くに聞こえる店内は、

外の世界と切り離されたように静かだった。


「無理して歩かないほうがいいですよ」


「……そうですね。ありがとうございます」


女性はしばらく黙って味噌汁を飲み、

やがて顔を上げた。


「私……結衣っていいます」


その名前は、雪の夜に静かに落ちていくようだった。


大和は名乗り返しながら、

自分の胸の奥にわずかな温度が戻っていくのを感じた。

それは恋でも期待でもない。

ただ、長い冬の中でふと見つけた、小さな灯りのようなものだった。


この出会いが、彼の20年の空白を埋める最初の一歩になることを、大和はまだ知らない。

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