48/204
雪の夜、ひとりの女性
吹雪の夜だった。
店舗からの帰り道、大和は街灯の下で立ち尽くす女性に気づいた。
白い息を吐きながらスマホを耳に当てているが、
その表情は怒っているようで、
泣いているようでもあった。
通り過ぎようとした瞬間、
女性がふらりと足を取られ、雪の上に崩れ落ちた。
「大丈夫ですか」
気づけば、大和は駆け寄っていた。
女性は顔を上げ、驚いたように目を見開く。
「……すみません。ちょっと、めまいがして」
頬は赤く、手は冷たかった。
このままでは危ないと思い、
大和は近くの居酒屋「灯」へ案内することにした。
「温かいものでも飲みませんか」
女性は少し迷ってから、小さく頷いた。
その仕草が、どこか美咲に似ていた。
胸の奥がわずかに痛む。
それでも大和は、
雪の中で震える彼女を放っておけなかった。




