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気になる夜
その頃、大和はソファに沈みながら、
通知を開いていた。
白ワイン。
あの店。
夜の灯り。
そして──
> #ひとりディナー
(……ひとり、か)
胸の奥がふっと揺れる。
(なんか、違う)
写真の寄り方も、
光の柔らかさも、
タグの並びも。
全部が、
“誰かを意識している”温度になっている。
(……俺の“ディナーで使おうと思ってます”に反応して?)
(……なんでこんなに気になるんだ)
理由は分からない。
でも嫌じゃない。
むしろ心地よい。
(……俺、どうしたんだ)
スマホを置いても、
胸のざわつきは消えなかった。
葵は投稿を見返しながら、
白ワインをひと口飲む。
(……会いたい)
その気持ちが、
静かに、でも確実に膨らんでいく。




