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存在意義②
仕事では誰かの役に立っているはずなのに、
自分が“そこにいる意味”が分からなくなる瞬間が増えていった。
美咲がいた頃は、
帰れば灯りがついていて、
温かい匂いがして、
「おかえり」と笑ってくれる人がいた。
今は違う。
鍵を開けても、
暗い部屋が広がるだけ。
(美咲……)
名前を呼ぶと、
胸の奥がきゅっと痛んだ。
忙しさに紛れて忘れたふりをしても、
夜になると必ず思い出してしまう。
そして気づく。
——自分が、空気みたいに薄くなっていることに。
誰かのために動いているのに、
自分の存在がどこにも感じられない。
(俺は……ここにいていいのか?)
そんな問いが、
雪の降る夜にふと胸をよぎる。
けれど答えは出ないまま、
大和はまた翌朝、
エリアマネージャーとしての仕事に向かうのだった。




