39/224
雪の降る場所へ①
美咲の葬儀が終わった夜。
大和は自宅のリビングで、
ひとり、灯りもつけずに座っていた。
部屋は静かだった。
あまりにも静かで、
美咲の笑い声がまだどこかに残っているように感じた。
テーブルの上には、
美咲が最後まで飲みきれなかった薬の瓶が置かれている。
大和はそれを見つめながら、
深く息を吐いた。
(……もう、ここにはいられない)
東京の街は、
美咲との思い出で溢れていた。
買い物をした商店街。
一緒に歩いた川沿いの道。
病院へ向かったタクシーの窓から見た景色。
どこを見ても、
美咲がいた。
そのすべてが、
今の大和にはあまりにもつらかった。




