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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第11章

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痛み

静まり返った病室で、

大和は妻の亡骸の手を握りしめていた。


冷たくなっていく指先に、

自分の体温を分け与えるように

そっと包み込みながら、

もう返ってこない呼びかけを

何度も何度も何度も胸の中で繰り返した。


病室には、美咲の残した気配だけが淡く漂っていた。


同じ夜、

東京の病室では、葵が眠る母の手を握りしめていた。


これが夢でありますようにと何度も願った。

でも自分が母を守る強さを持たないと。

母が起きているときに

涙を流すことはしたくなかった。

母はいつも笑っているから。


ただ、どれだけ祈っても、

時間は残酷なほど静かに進んでいく。


離れた場所で、

2人は互いを知らぬまま、似た境遇に沈み、

同じ涙を流していた。


その痛みが20年後、

思いがけない形でそっと結びつくことを、

このときの2人はまだ知らなかった。

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