前へ目次 次へ 37/221 2つの病室④ 同じ夜、東京の病院。 葵は母の手を握りながら、 治療の説明を聞いていた。 母は笑っていたが、 その笑顔の奥にある不安を、葵は痛いほど感じていた。 起こりうる全てを話しているのはわかっているけど、 副作用の説明は鳥肌が立った。 あれもこれも何もかもできなくなるかもなんて。 (怖い…… お母さんがいなくなるなんて…… 考えたくない) 葵は母の手を握りしめ、 声を殺して泣いた。 お母さんが一番泣きたいはずなのに… その涙は、 大和が流した涙と同じ色をしていた。