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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 柚原 澄香


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リールの影響

翌朝、キッチンに立つ葵の背中が見えた。

フライパンの中で、卵が静かに巻かれていく。


「……初めて作ってみたんだけど」


振り返った葵の手元には、

黄色と白の、二色のだし巻き。


「え、だし巻き? 色違うんだね」


「うん。白いほうはバター入れてみたの。

どっちが好きかなって」


俊介は少し驚きながら箸を伸ばす。

美味しい。

でも、胸の奥がざわつく。


「珍しいね。どうしたの急に」


葵は一瞬だけ目を伏せた。


「……どこだったか……見たんだよね。

だから気になって……」


本当は分かっている。

昨夜ひとりで見た、大和のリール。

二色のだし巻き。

あの声。

あの手元。


自分で作ってみたかった。

あの味を、確かめてみたかった。


俊介は静かに「美味しいよ」と笑った。

その笑顔の奥で、何かがゆっくり沈んでいく。


影が、日常に入り込んだ最初の朝だった。

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