36/204
2つの病室③
ある夜、大和が病室に入ると、
美咲は窓の外の雪を見つめていた。
「……雪、降ってるね」
「うん。綺麗だな」
美咲はゆっくりと大和の方を向いた。
「ねえ……
私、もうすぐ行くね」
「そんなこと言うな」
大和は必死に手を握った。
美咲は穏やかに微笑んだ。
「大和さん。
あなたは……優しすぎるから……
どうか……幸せになってね」
「お前がいないのに、幸せなんて……」
言いかけた言葉を、美咲がそっと遮った。
「大和さん……
ありがとう。
大好きだよ」
そのまま、美咲は静かに目を閉じた。
大和は何度も名前を呼んだ。
手を握りしめ、涙を落としながら。
しかし、美咲はもう返事をしなかった。
雪は静かに降り続け、
病室の窓を白く染めていた。




