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2つの病室②
葵は母の異変に気づいた。
「最近、疲れやすくてね」
「ちょっと胸が痛むのよ」
母は笑っていたが、
その笑顔の奥にある不安を、
葵は敏感に感じ取っていた。
(お母さん……何か隠してる)
胸騒ぎが止まらなかった。
嫌な予感がした葵は
腰の重い母を連れて病院へ。
母の検査結果を聞くため、
病院の廊下で落ち着かない足取りで待っていた。
母は穏やかに座っている。
しかし、その手はわずかに震えていた。
診察室に呼ばれた瞬間、
葵の心臓は強く脈打った。
医師が静寂のなか言った。
「お母さまは……乳ガンの可能性があります。
詳しく検査をして、結果次第では治療をすぐに始める必要があります」
葵の視界が揺れた。
(どうして……
どうして私の家にも……)
母は強がって笑った。
「大丈夫よ、葵。
お母さん、まだまだ負けないから。
葵を1人にしないからね」
その笑顔が、
美咲の笑顔と重なることを、葵は知らなかった。




