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2つの病室①
冬の気配が近づく頃、美咲の体は急速に弱っていった。
病院のベッドに横たわる彼女は、
かつての明るさを失い、
声も細く、呼吸も浅くなっていた。
大和は毎日、仕事を終えると病院へ向かった。
手を握り、背中をさすり、
美咲が眠るまでそばにいた。
「……大和さん」
美咲はかすれた声で呼んだ。
「ここにいるよ」
大和は椅子を寄せ、彼女の手を包み込んだ。
「……ありがとう。
最後まで……そばにいてくれて」
「最後なんて言うな。
まだ……まだ大丈夫だ」
大和の声は震えていた。
美咲は微笑んだ。
その笑顔は、どこか遠くを見ているようだった。
「大和さん……
あなたと結婚できて……本当に幸せだったよ」
その言葉に、大和は涙をこらえきれなかった。




