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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第10章

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葵の知らないところで

その頃、葵は慌ただしい毎日を送りながら、

大和のことを思い出さないように必死だった。


(店長は奥さんを支えてる。

私は私の人生を生きなきゃ)


そう言い聞かせながらも、

ふとした瞬間に大和の横顔が浮かんでしまう。


しかし葵は知らなかった。


大和が、

毎晩美咲の手を握りながら眠り、

朝は吐き気に苦しむ妻の背中をさすり、

仕事の合間に病院へ走り、

夜は不安を隠して笑っていることを。


葵の知らない場所で、

大和の世界は静かに崩れ始めていた。

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