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差し込んだ灯り
結衣とのDMは、まだ続いていた。
画面を開くたびに胸がざわつくのに、
閉じてしまうと、もっと落ち着かなくなる。
そんな不安定な呼吸のまま、
またひとつ、短いメッセージが落ちてきた。
『店長、また東京行くみたいですよ』
その一文を見た瞬間、
胸の奥で、沈んでいた何かがふっと浮いた。
光だ、と思った。
ただの明るさじゃない。
救いみたいな、息ができるみたいな、
あの頃と同じ、優しい温度の光。
店長。
心の中でその呼び名を置いただけで、
胸の奥がじんわり温かくなる。
こんなふうに感じるなんて、
思ってもみなかった。
だって店長は、
私が“好きになってはいけなかった人”だから。
自分で蓋をして、
バイトを辞めて、
距離を置いて、
15年を生きてきたのに。
どうして今になって、
また光ってしまうんだろう。




