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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第77章

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蘇る声

仕事中、ふと手が止まった。

理由なんて分かってる。

大和の声が、突然胸の奥で響いたから。


15年前と同じ、

落ち着いた、優しい、あの声。


忘れたはずだった。

忘れたふりをしていただけだった。

フタをした気持ちは、

消えたんじゃなくて、眠っていただけ。


同僚に「大丈夫?」と聞かれ、

笑って誤魔化す。

でも、心は誤魔化せない。


俊介から「遅くなる」とLINEが来て、

またほっとしてしまう。

ひとりになれる時間が増えるほど、

大和の記憶が勝手に浮かぶ。


見たい人が誰なのか、

もう分かってしまっている。


でも、認めたくない。

認めたら、戻れない。


フタは揺れている。

自分でも分かるほどに。


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