前へ目次 次へ 27/204 変化 治療が始まると、家の中の空気は少しずつ変わっていった。 美咲は髪を結ぶ手が震えるようになり、 料理を作るときに息が上がるようになった。 「ごめんね、大和さん。 最近、すぐ疲れちゃって」 「謝るなよ。俺がやるから」 大和は家事を引き受け、 仕事の合間に病院へ付き添った。 夜、ソファに座る美咲の肩に毛布をかけると、 彼女は小さくつぶやいた。 「……私、ちゃんと治るかな」 「治る。絶対に治る」 大和はそう言いながら、 心の奥で押し寄せる不安を必死に押し殺した。