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未来の音
昼過ぎ。
店のバックヤードで仕込みをしていると、
スマホが震えた。
〈次回の打ち合わせ日程を詰めたい〉
短い文面なのに、
胸の奥が静かに熱くなる。
「……そうか」
未来が、また一歩動いた。
そのとき、結衣がふとこちらを見た。
「大和さん、最近……表情が柔らかいですよね」
「そうか?」
「はい。なんか……誰かを思い出してるみたいな」
手が止まる。
結衣はそれ以上踏み込まない。
ただ、柔らかく微笑んで言った。
「無理に話さなくていいですよ。
店長が話したくなったときで」
その一言が、
胸の奥に静かに落ちていく。
結衣は知っている。
でも、繋げない。
ただ、必要な一言だけを置いていく。
大和は小さく息を吐いた。
未来の音が、静かに響いていた。




