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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第9章

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静かにはじまる闘い

春の終わり、雨が降り続く午後。

大和は妻・美咲とともに病院の待合室にいた。


白い壁、消毒液の匂い、

遠くで鳴る呼び出し音。

そのすべてが、現実を突きつけてくる。


「高田美咲さん、どうぞ」


診察室に入ると、医師は静かな声で言った。


「検査の結果ですが……乳ガンの転移の可能性が高いです」


美咲は一瞬だけ目を閉じた。

大和は息を呑んだ。


「……治療は、どうすれば」


声が震えていた。


医師は淡々と説明する。

手術、抗がん剤、放射線治療。

長い闘いになること。

副作用のこと。

生活が大きく変わること。


美咲は静かに聞いていた。

大和の手を握りながら。


病院を出ると、雨は小降りになっていた。

傘の下で、美咲はぽつりと言った。


「……怖いね」


大和はその手を強く握った。


「大丈夫だ。俺がいる。

一緒に乗り越えよう」


美咲は微笑んだ。

その笑顔は、どこか幼い子どものように頼りなく見えた。

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