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灯りで撮る未来
東京駅に降り立った瞬間、胸の奥が少しざわついた。
懐かしさとも違う、でもどこか温かい感覚。
居酒屋「灯」に入ると、和田さんが笑顔で迎えてくれた。
「大和、リアルで会うの久しぶりだねえ!」
店内の空気は、昔と変わらず温かかった。
ここで過ごした時間が、胸の奥に静かに蘇る。
コラボの最終打ち合わせを終えると、
和田さんが言った。
「せっかくだし、ここで一本撮っていきなよ。
原点でしょ?」
大和はスマホを構えた。
照明の色、木の匂い、カウンターの質感。
全部が懐かしくて、全部が新しかった。
録画ボタンを押す。
「今日はちょっと雰囲気違うでしょ?
実はここ、東京の居酒屋「灯」です」
声がいつもより軽い。
少し浮かれている。
でも、その軽さの奥に確かな光があった。
「ここからまた、新しいことが始まる気がします」
最後に薬指に触れて、照れた笑顔。
“誰か”に届くとは思っていない。
でも、どこかで期待している自分に気づく。
未来へ向かう光が、確かに胸の奥で灯っていた。




