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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第73章

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未来へ向かう朝

朝の光が、いつもより少しだけ柔らかく見えた。

大和は荷物を肩にかけながら、玄関の鍵を閉める。

胸の奥が、ほんの少しだけ軽い。


今日は東京へ行く。

美咲のお墓参りでも、過去を整理するためでもない。

自分の未来のために向かう東京。


店に寄ると、結衣がすぐ気づいた。


「店長、なんか最近いい顔してますね」


「そう?」

大和は照れたように笑った。

自分でも分かっていた。

言葉が、表情が、少しだけ軽くなっていることを。


スマホを開くと、深夜の再生は伸びていないまま。

“いいね”も増えていない。

でも、もうその数字に心を引っ張られないようにした。


「まあ、そんな日もあるか」


そう呟いて、スマホをポケットにしまう。

新幹線の窓に映る自分の顔は、どこか明るかった。


未来へ向かう朝。

大和は静かに息を吸い込んだ。

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