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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第70章

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逃げ場が失われた夜

俊介の寝返りが、またひとつ。

そのたびに身体が固くなる。


スマホは胸の前で握ったまま。

画面は暗い。

光をつけたら、もっと苦しくなる気がした。


大和の薬指タッチが、

頭の中で何度も再生される。

あの光。

あの距離。

あの静かな温度。


虹の投稿も、俊介には見られていない。

それが逆に胸を締めつける。

私の中の“光”は、誰にも触れられないまま。


俊介の寝息が深くなる。

本当に寝たのか、わからない。

わからないまま、私は動けない。


逃げ場がない夜。

呼吸が浅いまま、

目を閉じても眠れない。


朝が来るのが怖いのに、

夜のままでも苦しい。


その狭間で、

私はただ、固まっていた。

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