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逃げ場が失われた夜
俊介の寝返りが、またひとつ。
そのたびに身体が固くなる。
スマホは胸の前で握ったまま。
画面は暗い。
光をつけたら、もっと苦しくなる気がした。
大和の薬指タッチが、
頭の中で何度も再生される。
あの光。
あの距離。
あの静かな温度。
虹の投稿も、俊介には見られていない。
それが逆に胸を締めつける。
私の中の“光”は、誰にも触れられないまま。
俊介の寝息が深くなる。
本当に寝たのか、わからない。
わからないまま、私は動けない。
逃げ場がない夜。
呼吸が浅いまま、
目を閉じても眠れない。
朝が来るのが怖いのに、
夜のままでも苦しい。
その狭間で、
私はただ、固まっていた。




