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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第70章

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家族のかたち

夜。

布団に入っても眠れない。


俊介は寝ているように見える。

一定の寝息。

でも、どこか不自然。


私はそっとスマホを手に取った。

画面に触れた瞬間——


「……前話した、子どもの話なんだけどさ……」


俊介の声だった。

寝息の延長みたいな、でもはっきりとした声。


身体がびくっと固まる。

スマホを握る手が震える。


「俺たち……ちゃんと家族になりたいんだ。

子どもをもって、未来を一緒に考えたい」


俊介は目を開けないまま言う。


返事ができない。

喉が閉じて、呼吸が浅くなる。


逃げたいのに、逃げられない。

スマホの画面は暗いまま。

大和のアイコンが頭に浮かぶ。

でも、開けない。


——無理。

もう、無理だよ。


声にならない言葉が胸の奥で崩れた。

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