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家族のかたち
夜。
布団に入っても眠れない。
俊介は寝ているように見える。
一定の寝息。
でも、どこか不自然。
私はそっとスマホを手に取った。
画面に触れた瞬間——
「……前話した、子どもの話なんだけどさ……」
俊介の声だった。
寝息の延長みたいな、でもはっきりとした声。
身体がびくっと固まる。
スマホを握る手が震える。
「俺たち……ちゃんと家族になりたいんだ。
子どもをもって、未来を一緒に考えたい」
俊介は目を開けないまま言う。
返事ができない。
喉が閉じて、呼吸が浅くなる。
逃げたいのに、逃げられない。
スマホの画面は暗いまま。
大和のアイコンが頭に浮かぶ。
でも、開けない。
——無理。
もう、無理だよ。
声にならない言葉が胸の奥で崩れた。




