前へ目次 次へ 241/281 違和感 画面を閉じても、胸のざわつきは消えなかった。 布団の中で小さく丸くなりながら、葵は自分の左手を見つめる。 薬指のリングが、薄暗い部屋で鈍く光った。 (なんで……気になるんだろう) 大和の薬指。 触れた仕草。 そこに宿っていた、言葉にならない何か。 15年前、諦めたはずの気持ちが、 ほんの少しだけ、息を吹き返したような気がした。 でも、それを認めるわけにはいかない。 認めたら、何かが壊れてしまう気がした。 葵は目を閉じる。 胸の奥で、光と影が静かに揺れ続けていた。