前へ目次 次へ 24/204 ふとした瞬間に蘇る影 俊介と歩く帰り道。 ふと、街灯の下で見た大和の横顔が蘇る。 俊介が手を握ってくれる。 その温もりの奥に、 別の温もりを思い出してしまう。 俊介が笑う。 その笑顔の奥に、 大和の静かな微笑みが重なってしまう。 (こんなのだめだよ……) 葵は自分を叱るように心の中でつぶやいた。 (あの人は、奥さんを支えてる。 私は、私の人生をちゃんと生きなきゃいけない) そう思いながらも、 胸の奥の “空白” をどうしても消すことができなかった。