表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第68章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

235/284

触れてしまう場所

大和が休憩中、

ふと開いたインスタに、虹の写真が流れてきた。

名前を見た瞬間、胸の奥がじんわり熱くなる。


及川さん。


写真の端に、小さく指輪のようなものが写っていた。

その光を見た瞬間、

大和は“あの日”を思い出す。


——結衣の言葉。

「大和さんの人生……凍らせないでほしいです」


あの言葉に背中を押されて、

止まっていた自分を少しだけ動かすために、指輪を外した。

美咲を忘れるためじゃない。

前に進むためだった。


なのに今、

葵の指輪が胸に刺さる。


(幸せなら……それでいい。

 それでいいはずなのに)


胸の奥が、静かにきしむ。

自分は前に進もうとした。

でも、及川さんはもう誰かと“幸せ”を選んでいる——

そう思った瞬間、

心のどこかがふっと緩んで、

同時に、締めつけられた。


その夜、リールを撮る手元がいつもより柔らかくなる。

湯気の向こうの光が、やけに優しい。

声も、少しだけ低くて温かい。


そして無意識に、

左手の薬指をそっと触ってしまう。


そこにはもう何もない。

でも、触れてしまう。


結衣はその仕草を見て、

(店長……“誰か”を想ってる)

と静かに気づく。


大和は、自分の揺れにまだ気づいていない。

ただ、葵の指輪の光が、

胸の奥で静かに波紋を広げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ