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20年間忘れられなかった人と、もう一度恋をする  作者: 沈丁花
第66章

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過去の線が揺れ動くとき

(……もう一回だけ)


気づけば、

同じリールを20回以上再生していた。


今までは、

こっそり短い時間だけ見ていたから、

細かいところまで目がいかなかった。


でも今日は違う。


もっと見たい。

もっと知りたい。


そんな気持ちが、

自分でも驚くほど自然に湧いてくる。


ふと、

大和の左手が画面の端に映った。


(……あれ?)


一瞬、呼吸が止まる。


指輪が、ない。


15年前“線を引いた”あの瞬間が蘇る。


――あ、この人は結婚しているんだ。


そう思って、

自分の気持ちにフタをした。


でも今、

そのフタが静かに揺れている。


(どうして……?

 いつから……?)


胸の奥がざわつく。


すぐに、自分の左手に視線が落ちた。


(……だめだよね。

 私がこんな気持ちになっちゃいけない)


そう言い聞かせても、

再生を止められなかった。


大和の声が流れるたび、

心の奥で小さな灯がまたひとつ、そっと灯る。

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