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物理的なつながりも欲しくなる
その“つながっている感じ”が胸の奥に残ったまま、
葵はゆっくりとスマホを握り直した。
(……会えていないのに、
同じ灯を懐かしんでたんだ)
北海道と東京、時間も距離も違うのに、
まるで同じ線の上に立っていたような錯覚が、
まだ身体のどこかに残っている。
(こんな気持ち……久しぶりだ)
怖い。
でも、温かい。
その両方が胸の中で静かに揺れていた。
画面をスクロールすると、
大和のプロフィールが目に入る。
「フォローする」
たったそれだけのボタンなのに、
触れたら何かが変わってしまう気がした。
(……だめだよね)
俊介の顔が一瞬よぎる。
けれど、
その影を押し返すように、
画面越しの大和の笑顔が胸に残っていた。
(でも……つながりたい)
葵の指先をそっと後押しする。
震える指で、
画面に触れた。
高田大和
フォロー中
その文字が表示された瞬間、
胸の奥で、
さっきまでの“錯覚”のようなつながりが、
ほんの少しだけ“現実”に変わった気がした。
暗い部屋の中で、
スマホの光が静かに揺れる。
その光は、
葵の心に灯った小さな“灯”と同じ色をしていた。




